雇われ嫁の備忘録

42歳主婦が人生を変えようと奮闘する話

第5話 絶頂から谷底へ

2020年2月

この年は例年に比べて雪がほとんど降らない年だった

毎朝起きるたびにウンザリするような大雪も無い

スコップでの雪かきで次の日筋肉痛に襲われることも無い

なんて快適なんだろう

こう思えるようになったのは、私が雪国でそれなりの月日を過ごしてきた証拠なのかもしれない

もうずっと降らなくていいよ

こっちに来て初めて雪を見たときの少女のような気持ちは、もうとっくになくなってしまった

 

コンサートと心が楽になるお薬のおかげで

私は本当に穏やかで毎日が高揚感溢れる日々を過ごせていた。

今月はなんとまた歌手の方とお会いできるチャンスが巡ってきた

今度は町主催のイベントにゲスト出演するとのこと!

 

なんて自分は運がいいんだろう

毎日が本当に楽しい

SNSで知り合った同じ歌手の方のファンと交流するのも楽しい

これまでリリースされた曲をどんどん自分にインプットしていくのも楽しい

今度は何着てコンサートに行こう

プレゼントは何にしよう

県内の他のイベントやコンサートにも参加したい

身近にこんなに楽しいことがあるなんて

なんて私は幸せなんだろう

 

でも

 

なんか

 

うまく行きすぎているような

 

ちょっとでもこう思えていたのなら、また違った運命になったのかなあ

 

 

程なくして世界中に広まったコロナウイルス

例に漏れず日本にも到達し、その影響は首都東京から徐々に広がり

こんな山に囲まれたのどかな町にも不穏な空気が届き始めていました

 

コンサートは全国的に軒並み中止

まだ都会から距離があったことが幸いし歌手さんのイベント出演は行われたものの

先行き不透明

そしてこれが私にとって最後のコンサートとなってしまう

 

この時思ったことを未だに覚えています

「やっぱりな。私の人生、こんなにうまく行くはずないんだよ」

がっっっくりと肩を落として

でももうこういう事には慣れてるというか

すぐに諦めの方向にシフトチェンジしていた記憶があります。

 

自分は幸せにはなれない運命なんだと、この頃は本気でそう思っていました

 

 

コロナが流行り始めると、みんなお家に籠もるようになりました。

 

ある夜、何気なく思い付いたささやかな私の願望

 

次にコンサートに行けるようになったときに、少しでも若々しくおしゃれして行きたい

 

この時点では

本当にただただ

この言葉のまんまの事だけの思考しかありませんでした

でもこれがある意味きっかけで

自分から行動して変えていく

ということに手を出し始めます。

 

 

次回、筋トレ始めます(笑)

 

 

第4話 素晴らしき世界

この地に嫁いできて早十数年

最初の頃は、一ヶ月もすれば義理両親とも仲良くなれるし友達だってすぐにできる

そう思って疑いませんでした。

ある意味凄いな

どれだけ自己肯定感が高かったんだろう私は

 

当たり前だが、思い描いていたルートを順調に進めるわけでなく

むしろ真逆

義理両親とはいつまでたっても打ち解けられず

(まあこれは私が猫かぶりしまくっていたのが悪いんだろうと思います。)

友達も出来ず

(大人になってからの友達って作るのほんと難しい)

徐々にこの地へ来たことに対してさすがの自己肯定感が高い私も疑問を持ち始めてしまうことになります

 

こうなってしまうと後はもうガラガラと崖を転がり落ちるのみ

フォローしてくれる人も出来事もなく

生まれ育ったこの場所に愛着持って生きている夫とは違い

私は

この住んでいる場所にどうしても自分という人間を結びつけることが出来ずにいました。

ここにいるのに、住んでいるのに、ここで一生を終えねばならないのに

ここに自分がいることに違和感しか感じず十数年過ごしていました。

私はこの先もこの土地になんの愛着もわかないだろうし、好きになることも無いんだろうなあ

最初はこの地の方言や、冬の豪雪、はっきりとした四季の移り変わり、人々の優しさ

それに魅力を感じて、ここに来ることを決めたんだったのに

 

 

コンサート会場につくと

想像の10倍以上のお客さんたちでごった返しておりました。

へえ…凄いな。けっこう人気あるんだこの歌手の方…

若い人からお年寄りまで

 

この方の歌、一応YouTubeで事前学習として代表曲は聴いてきた

けっこう上手だなとは思ったけど

まあ実際生歌聞いたら音程が微妙とかそういうこともあるだろうからあまり期待しないでおこう

 

そして

 

運命の幕が上がったのである

 

そして

 

コンサート終了

 

会場から出てきた私の腕には

しっかりと

歌手さんのCDとチェキとペンライトが抱えられておりました

 

(笑)

 

凄かった

 

何がすごかったって

 

彼の生歌はYouTubeで聞いたそのまま一寸の狂いもない音程だった

それどころか

生の声量の凄まじさと実際に機械で遠いところから送られてくる歌じゃなく

その場でダイレクトに伝わってくる衝撃波も相まって

想像してた何百倍も大きな感動となって降りかかってきたのですよ

 

郷土愛溢れるMCや方言もとても心地良い

ステージから降りて観客席を周回しながらの歌唱

テレビで見たやつ

大興奮

そしてこれだけでは終わらない

とどめの物販で握手!!!(笑)

 

 

怒涛のめくるめくキラキラした普段とは別の世界に

完全にいつものどんよりした気分の私は消え去っていました

 

「またここに来て歌います」

 

コンサートの終わりに歌手の方がそう言っていました

 

また来て歌声を聞かせてください

絶対にまた会いに来ます

泣いてしまいそうなくらい歌声に感動しました

 

物販で握手をしてもらいながら

「これからずっと応援させてもらいます」

と伝えました。

 

この地に自分がいることに誇りを持てた初めての瞬間でした

この地のすべてが愛おしく感じれた瞬間でした

 

ここで頑張っていく人生ってのも悪くない

自分を少し好きになれた日でした

 

 

次回、あのウイルスが忍び寄ってきます

 

 

 

第3話 コンサート

たまたまでした

いつものようにツイッターをなんとなく眺めていたら、

「ゲームのキャラクターに混じっていても違和感のない歌手」

という感じで軽くバズっているツイートが目に止まりました。

 

その歌手の方は、漫画のキャラクターの様な衣装に、バリバリメイクの男性

いわゆるビジュアル系ってやつ

ビジュアル系といえば、私が高校生くらいの頃だと

LUNA SEAとかSHAZNAとかDIR EN GREYとか……?

詳しくは知らないけれど

それなりにテレビでよくお見かけしていたし、周りの友達にもファンだっていう子がちらほらいたっけなあ…

 

ただそのツイートの画像の歌手のビジュアルが

なんだか自分の好みにドンピシャで

ビジュアル系だけに

気になってしまったんですね。

 

調べてみると

地元出身の歌手の方らしい(笑)

世の中狭いなあとしみじみしながらも心躍る

それだけでも驚きなのに

あろうことか

再来月私の住むこの町で

なんと

コンサートがあるらしい!!!!!(ガタッ)

 

何という神的タイミング

 

この頃はまだコロナ禍になる直前の時期だったので

しかも入場料が破格でたしか2千円前後位だったような

 

という訳で

行動力だけはいくらでも持ち合わせている42歳主婦

即夫に相談し、許可をもらい、ローチケで入場券ゲット。

行動力だけはあるんだよね

そんなこんなで

心が楽になるお薬とコンサートに行くという生きる糧を得た私は、数年前に戦隊モノにハマっていた頃ぶりにワクワクしながら毎日をクリアしていったのでした。

 

そしてコンサート当日がやってきた。

歌手のコンサートにボッチで参戦という初体験だったが

周りは知らない人ばかりなので気楽だし

どれ、どんなもんか見てやろうかいのぅひゃっひゃっひゃ

くらいの気持ちだった

しかし

私はかなり甘く考えていたようだ

これから繰り広げられる出来事が

どんなことかも知らずに………

 

 

この日を境に

空っぽだった自分の中が

初めて

ここにいま自分がいることの価値がどれだけ尊い事で感謝するべき事だったのか

という想いで

溢れることになります

 

次回、いよいよコンサートです。

凄いことになります(笑)

 

 

 

 

第2話 現代の医療技術って凄い

診察を終えて調剤薬局で薬を貰い自家用車に乗り込んだ。

 

え……こんなに安くていいんですか????

 

これが最大の驚きでした。

それまでの精神科のイメージでは

診察代と薬代がとても高額という極めて勝手な思い込みでおりました

調べもせずこうだろうと勝手に思い込んでおりました

 

診察代……2千数百円……

 

いやいやいや、落ち着け。

きっとこのあと処方される薬ってのが高いんでしょそうなんでしょ

 

お薬貰う。

お薬代……5百数十円……

しかも楽天Edyで支払える

 

私の握りしめた財布の中の2万円は出番なしでした

銀行からわざわざおろす事なかったね

 

自家用車に乗り込んだ私は、先程の診察で先生とお話したことを思い出す。

 

先生は味方だった。

辛かったこと苦しかったことをツイッター以外で生身の人間に直接話すのは初めての経験だった。

先生は私とのすべての会話をパソコンで打ち込みながら、診察を進めた。

先生に全部心の内をさらけ出した。

泣きそうになったけど我慢して極力冷静なふりをした。

 

これが心療内科の診察かあ…

うん、たしかに心が軽くなった。

人に話を聞いてもらうって大事なんだなあと初めて思い知った。

カウンセラーの存在って必要だったんだ

自分が当事者になってみて初めての感じた。

 

家に帰って夕飯の後

いよいよ処方されたお薬をいただく

 

不安な気持ちが和らぎます。

そういう説明が紙に書いてあった。

自分の気持ちがお薬の力によって変化するっていう現象が本当に起きるのか???

まだ信じられなかった。

 

数分後

 

異変が起きる

 

何だこれ

何だこれ!!

何なのこれえええ!!!!

 

ほんとに不安な気持ちが消えたよ!!!!

無理やり自己嫌悪になろうと

一生懸命嫌だったことを思い出そうとするんだけれど

思い出せないのですよ!!

心が楽過ぎる

 

本当に十何年ぶりにこんな穏やかな気持ちになれた気がした。

気持ちいい

 

思い起こせば

 

嫁いできてから

緊張が途切れることが無かったな

自営業の会社に自動的に入社して

友達も

自分の親も

親戚のおじさんおばさんも

いない中で

なれない職場

妊娠

出産

専業主婦

ワンオペ育児

そして消えることのない孤独感

 

よく頑張ったよ私

お疲れ様、私

 

これから心が休まるときがお薬の力だけども貰えることになった。

現代の医療技術はほんとにすごい

 

その日私は久しぶりに幸せな気持ちで

眠りにつくことができたのでした

 

 

次回、更に自分を勇気づけてくれる人に出会います

 

 

 

 

 

第1話 人生の分岐点

雇われ嫁の備忘録

 

あれは確かコロナが流行りだす一ヶ月ほど前の事だったと記憶しております。

あの頃の私は本当に心身ともに疲弊しておりました。

仕事をしていても物忘れがひどく、数分前に確認したことも覚えていない。

本気で自分は若年性アルツハイマー病なのではないかと悩んで、症状などを検索してはうなだれておりました。

そんな自分が情けなくてミスや忘れ物をする度に、夫に感情をぶつける毎日。

毎回毎回、自分は駄目な人間だきっと病気なんだもうなんでだろうなんでだろうと聞かされ続けた夫は、さぞかし呆れていたことでしょう。

というか、見るからに呆れていました。

そんなことないよ、と毎回返さなければいけない夫。

お疲れさまです。

 

とにかく自己肯定感が極めて低く、常に頭の中は

 

どうしたら今の現実から逃げることが出来るかと言う事を考えては不可能という現実に打ちのめされる、

過去の自分の行動を思い出してはあの時こうしていれば今の苦労は無かったのに、

 

この2つの思考の繰り返しで埋め尽くされておりました。

 

 

その頃でした。SNSで見つけた精神科に通院しているという一つの呟き。

なんとなく気になって関連するワードを検索してみました。

 

そしてここで発揮されたのが自分の持ち前の行動力でした。

関東から何も考えず東北に嫁いできた行動力。

知り合いいなくても一ヶ月もすればなんとかなるさという楽観的思考ですべてを捨てて嫁いできた行動力。

とにかく考えるより行動力。

自己肯定感がべらぼうに高かった結婚前までの行動力。

今となっては恨むべき行動力。

 

その行動力が

精神科の扉を叩きに行き

そこから

人生がちょっと思っていたのと違うルートをたどりだします。

 

次回、精神科の先生とお話します。

 

 

はじめまして、gomaです。

42歳主婦。とても充実した毎日を送っています。

充実しすぎてほんと一日24時間じゃ足りません。

私には夢があります。

夫も会社の売上を今より1.5倍にする事。

従業員さんたちの給料をプラス3万円にそれぞれすることです。

そして

誰もが楽しく充実した一日を仕事をしながら終えられること。

みんなの力を合わせて会社を作っていって成長させていきたい。

そう思って毎日過ごしています。

 

 

でも

こう思えるまでは

数々の試練の連続でした。

他の人から見たら大したことないぬるい人生

かもしれませんが

 

 

42歳の主婦が燃えております。

一度きりの人生ここから花開かせていきたいと思って燃えまくっております。

勢いがついてブログを始めてしまいました。

これから今まで生きてきた中での記憶に蘇る実体験を綴っていきたいと思います。

 

人生どん底だと思ってもいつか必ず光が指す。

それをまさに体感している真っ最中の42歳主婦のブログ。

一緒に振り返っていただき、そして現在進行系の猪突猛進な暴れっぷりにもお付き合いいただけたら幸いです。

 

42歳主婦が人生を変えようと奮闘する話。

スタートです。