第12話 悩んだあの頃
私には3人の子供がいます。
ちょうど16年前第一子となる長女が産まれました。
それと同時に私は会社から2つの選択を提示されました。
1つ目は、子供を保育園に預けてこのまま自営業の手伝いという仕事を続けるか。
2つ目は、会社を一旦辞めて子育てに専念するか。
初めての育児。
それだけでとてつもないプレッシャーに支配されていた私は、迷うことなく専業主婦になって育児をすることを選びました。
新生児との毎日はそれはそれは想像を絶する日々でした。
子育てをした経験のある方ならその大変さはお分かりになると思いますが。
加えて私は、嫁いだばかりで配属となった職場での人間関係に疲れもいましたし、つわりや大きなお腹を抱えてなんとか仕事を乗り切ったことで、心にも休息を欲しておりました。
そんな理由もあってから、どちらかというと
「もう、働きたくない」
という思いがかなり強く出ていました。
嫁ぎ先の仕事、ましてや将来は上司のあとを継ぐ宿命が未来には待っているという現実は変えられない
そこから少しでも逃げたい
逃げるいい理由として「子育てに専念したい」と言ったのです。
自分の都合で、自分のその時の感情で。
このときの私には、未来を見据えるなんて知識は全くありませんでした。
働かなければお金が入らない、という常識も頭から抜けていました。
とにかく嫁ぎ先の職場の仕事内容は過酷でした。
今まで経験してきたどんな職場より肉体的にも精神的にもキツかったです。
「逃げたい、逃げられる、とりあえず今楽になりたい」
この頃はまだ、今のようにYouTubeやSNSで情報を仕入れることなど普及していなかった時代。
何が得で何が損なのか
20そこそこの新米ママはそんなことを知る余地もないまま
孤独に、がむしゃらに、自分のことなんか後回しで、目の前の毎日に向き合って過ごし続けていったのです。
約10年間で3人の子宝に恵まれ、子供の成長を第一に考えて過ごしてきました。
そして3人目の長男が一歳になるのを機に、また職場復活したのです。
今度は兼業主婦です。
子どもの事も気に掛けつつ、仕事も家事もこなさなくてはなりません。
保育園や小学校で子供の面倒は見てもらえますが、まだまだ幼い子どもたち。
家に帰れば目が離せないし、身の回りの世話も手を掛けなければいけません。
会社では、また向き合わなくてはならない人間関係。
一緒に働く夫の両親への過度の気遣い。
加えて、専業ではなくなったんだからという理由で加えられた早朝の仕事。
それでも私は自分に鞭打って頑張ってきたつもりです。
もう駄目だなあと思ったときに助けてもらったのが、当時放送されていた戦隊モノや、漫画、アニメ。
これらに勇気をたくさん貰いながら、1年、2年と乗り切っていきました。
人間関係で挫けそうなときは、頭の中に、当時大ファンだった戦隊モノのブルーを思い出してはニヤニヤしたり、漫画のストーリーを思い描いて自分を奮い立たせたりして
そうこうしていくうちに、子供はどんどん成長していって手がかからなくなってきました。
休みの日で、3人きょうだいそろってテレビを見ながら、工場の隣りにある自宅で留守番も出来るようになりました。
そこでまた、私には休みの日の仕事も追加されていきました。
いやぁ……ちょっと休憩(笑)
今こうしてみるとやべえですな
段々とするべきことが増えてきている
でもそれに違和感を感じていない。
水につかっているカエルがいつの間にか熱湯になっていることに気付かず結果死んでしまう例えみたいな。
いやまあ違和感を感じていないというか、
自営業は大変だっていうし、これくらいの仕事量するのが自営業だし、いずれ全部引き継がなきゃならないんだし、当たり前だよねこれくらい、義理の両親にも段々と楽させて上げるにはこれくらい頑張らなくっちゃ!
みたいなある意味洗脳(笑)
自分の状況を異常なものとして認めたくなくて、正しいことなんだと一生懸命自分で自分に言い聞かせていたんです。
このまま行ったら過労死待ったなしだよな……怖い……
でももうしばらく私のこの洗脳は抜けず、更に休息時間は減っていき、やるべきことは増えていきます。
会社のみんなに認めてもらうには、弱音を吐いちゃだめだ。
ひたすら頑張るんだ。上司の仕事を覚えなければいけないんだ。
頑張った結果、一応私は会社のみんなから役員としては認めてもらえるようになったと自分では思っています。
大体の流れは身についたし、上司から指示されたことは理解できる。
やることをきちんとやって来たことによって信用度も上がっていると思う。
あとは
上司から
仕事を任されるようになればいいだけ。
なんだけどなあ(笑)
次回、待てど暮らせどその時はやって来ません。