雇われ嫁の備忘録

42歳主婦が人生を変えようと奮闘する話

第4話 素晴らしき世界

この地に嫁いできて早十数年

最初の頃は、一ヶ月もすれば義理両親とも仲良くなれるし友達だってすぐにできる

そう思って疑いませんでした。

ある意味凄いな

どれだけ自己肯定感が高かったんだろう私は

 

当たり前だが、思い描いていたルートを順調に進めるわけでなく

むしろ真逆

義理両親とはいつまでたっても打ち解けられず

(まあこれは私が猫かぶりしまくっていたのが悪いんだろうと思います。)

友達も出来ず

(大人になってからの友達って作るのほんと難しい)

徐々にこの地へ来たことに対してさすがの自己肯定感が高い私も疑問を持ち始めてしまうことになります

 

こうなってしまうと後はもうガラガラと崖を転がり落ちるのみ

フォローしてくれる人も出来事もなく

生まれ育ったこの場所に愛着持って生きている夫とは違い

私は

この住んでいる場所にどうしても自分という人間を結びつけることが出来ずにいました。

ここにいるのに、住んでいるのに、ここで一生を終えねばならないのに

ここに自分がいることに違和感しか感じず十数年過ごしていました。

私はこの先もこの土地になんの愛着もわかないだろうし、好きになることも無いんだろうなあ

最初はこの地の方言や、冬の豪雪、はっきりとした四季の移り変わり、人々の優しさ

それに魅力を感じて、ここに来ることを決めたんだったのに

 

 

コンサート会場につくと

想像の10倍以上のお客さんたちでごった返しておりました。

へえ…凄いな。けっこう人気あるんだこの歌手の方…

若い人からお年寄りまで

 

この方の歌、一応YouTubeで事前学習として代表曲は聴いてきた

けっこう上手だなとは思ったけど

まあ実際生歌聞いたら音程が微妙とかそういうこともあるだろうからあまり期待しないでおこう

 

そして

 

運命の幕が上がったのである

 

そして

 

コンサート終了

 

会場から出てきた私の腕には

しっかりと

歌手さんのCDとチェキとペンライトが抱えられておりました

 

(笑)

 

凄かった

 

何がすごかったって

 

彼の生歌はYouTubeで聞いたそのまま一寸の狂いもない音程だった

それどころか

生の声量の凄まじさと実際に機械で遠いところから送られてくる歌じゃなく

その場でダイレクトに伝わってくる衝撃波も相まって

想像してた何百倍も大きな感動となって降りかかってきたのですよ

 

郷土愛溢れるMCや方言もとても心地良い

ステージから降りて観客席を周回しながらの歌唱

テレビで見たやつ

大興奮

そしてこれだけでは終わらない

とどめの物販で握手!!!(笑)

 

 

怒涛のめくるめくキラキラした普段とは別の世界に

完全にいつものどんよりした気分の私は消え去っていました

 

「またここに来て歌います」

 

コンサートの終わりに歌手の方がそう言っていました

 

また来て歌声を聞かせてください

絶対にまた会いに来ます

泣いてしまいそうなくらい歌声に感動しました

 

物販で握手をしてもらいながら

「これからずっと応援させてもらいます」

と伝えました。

 

この地に自分がいることに誇りを持てた初めての瞬間でした

この地のすべてが愛おしく感じれた瞬間でした

 

ここで頑張っていく人生ってのも悪くない

自分を少し好きになれた日でした

 

 

次回、あのウイルスが忍び寄ってきます